加害者請求と被害者請求の違いは?

被害者請求の仕組み

自動車が絡む交通事故が起きると、被害の程度に応じて自動車損害賠償責任保険の保険金が支払われます。保険金の請求は加害者と被害者のどちらも行うことができますが、自動車損害賠償責任保険は交通事故被害者の救済が主要な目的であるため、加害者側から請求する場合と、被害者側から請求する場合とでは、仕組みに違いがあります。

加害者請求と被害者請求の最も大きな違いは、請求が可能となるタイミングです。加害者請求の場合は傷病の程度に関係なく、損害賠償金を支払った日から3年以内が請求可能期間となるのに対し、被害者請求は起算日から3年間が請求可能期間なのは加害者請求と一緒ですが、傷病の程度によって起算日が異なっています。請求可能期間の開始日は、傷害の場合は事故が発生した日、後遺障害の状態になった場合は事故に伴う症状が固定された日、死亡した場合は亡くなった日となっています。

2種類の請求方法は保険金が交通事故の被害者に渡るまでの流れについても異なります。被害者請求の場合は、被害者側が加害者が加入している損害保険会社に対して直接請求することができますが、加害者側が請求する場合は加害者が被害者に事故の損害賠償金に支払った事実がなければ請求することができません。請求は事故の損害額が確定した段階で行われるのが理想ですが、被害者の事故によって受けた被害の程度が大きいと怪我や障害の程度および賠償額が確定するまでに時間を要することから、加害者は被害者に賠償金を支払う度に、被害者は病院に治療費を支払う度に保険金を請求することができるようになっています。

仮渡金制度とは?

また、事故の被害者は、加害者から保険金を受け取ったり、治療費などの支払いを始める前であっても、当面必要となる費用を工面するために保険金の支払いを請求することができます。これは仮渡金制度と呼ばれており、被害者請求の形態の一つとなっています。ただし、仮渡金は1回しか請求することはできず、請求可能な金額にも限度が定められている点や、事故の賠償額が確定した段階で既に受け取った仮渡金の金額が賠償額を上回っていた場合は、超過した分を返金しなければならない点など、いくつか注意しなければならない点もあります。
かつては加害者からも請求できる形態として、内払金制度と呼ばれるものも存在していました。こちらは治療費や休業損害が10万円以上に達していれば、傷害の区分の限度額である120万円に達するまで何度でも請求できるというものでしたが、2008(平成20)年10月に本請求と一体化することで廃止されています。